月刊監査役2017年12月号に、LGBTの紹介記事がありましたので、本日はこれをご紹介したいと思います。森・濱田松本法律事務所 弁護士 安倍 嘉一氏のご寄稿です。
LGBTとは「L=レズビアン (女性同性愛者)」「G=ゲイ (男性同性愛者)」「B=バイセクシャル (両性愛者)」「T=トランスジェンダー (身体の性と性自認の不一致)」を総称した言葉で、所謂「性的少数者」に近い意義で使用される例が多くなってきています。
例えば同性愛者について、近年の多くの調査では約2%〜13%存在していることが明らかになっています (Wikipediaより)。従って確率論としては50名以上の集団であれば1名以上性的少数者が存在している可能性がありますが、日本企業の一般的な各種規程、社内施設等は異性愛者を前提としており、性的少数者の働きづらさや差別に繋がっている可能性があります。
また、我々経営陣が「LGBTの社員がいること」自体を認識できていない、という問題もあります。記事ではこの原因として、「LGBTの社員が、偏見やいじめを恐れ、自らがLGBTであることを公表していない」ことを挙げています。

記事ではLGBTへの対応の取り組み事例として、
1.企業における宣言
2.研修の実施
3.支援体制の構築
4.社内制度の同性パートナーへの拡大
の4点を挙げています。
これらをよく見ると、女性登用促進やダイバーシティ推進の先進企業が率先して行っていた取り組みと大きく変わるところはなく、ダイバーシティの取り組みのステップの一つとして捉えてもいいのではないかと感じました。

また、監査役の視点としては、法令等で定められた取り組みではないものの、やはり企業として積極的に取り組むべき課題として認識すべきです。経営陣内での認識共有はもちろん、少なくとも (LGBTに限らず)差別的な言動を許さない、という姿勢は事あるごとに明確化すべきでしょう。

一昔前は社員の均質化が重視され、「出来るだけ似たような人」の集団であることが良しとされる風潮があったように思いますが、多様でない企業の淘汰が始まり出す時期に来ていると感じています。「典型的な社員像」ではない社員をどれだけ大事に出来るかが、今後の勝負の分かれ目であると思います。