朝日新聞デジタル 2023年1月19日 12:06配信記事より

広島県福山市の社会福祉法人「サンフェニックス」(現すみれ佑和会)の資金約5億7千万円を着服したとして、警視庁はこの法人の理事長だったN容疑者(73)=福山市=と、後任理事長のS容疑者(58)=東京都大田区=の2人を業務上横領容疑で逮捕し、19日発表した。同庁は2人の認否を明らかにしていない。
同法人は東京や広島、岡山の3都県で特別養護老人ホームなどを運営。捜査2課によると、2人は共謀して2018年7月~21年4月、S容疑者が管理していた同法人の口座から、医師であるN容疑者が運営するクリニックの口座に複数回にわたり、現金計約5億7千万円を送金して横領した疑いがある。
関係者によると、この法人をめぐっては経営権の譲渡契約前に約30億円あった法人の預金が急減してほぼなくなっていた。広島県は21年10月、運営に重大な問題があったとみて特別監査を実施していた。

社会福祉法人 すみれ佑和会HP

社会福祉法人の理事長が横領で逮捕された、というニュースです。
横領の詳細については調査報告書等が公表されていないため不明ですが、逮捕容疑である6億円弱の横領は、N容疑者のクリニックから社会福祉法人が運営する老人ホーム等への医師派遣契約について、派遣の実態がなかったものの5年間で6億円弱の支払いがあったとのことで、確かに正当性はない支払であると考えられます。

今回の件は、実態として社会福祉法人の運営が公益性を欠き、個人の私物のように取り扱われてしまっていたようですが、理事会や評議員会、そして監事監査はどのようになっていたのか(彼らはどのように判断していたのか)気になるところです。
同社会福祉法人は上記リンクの通り、名称を変え現在も運営を継続しています。何よりサービス利用者の生活に支障が出ていないことを祈るばかりです。

なお、このS理事長は元公認会計士で、公認会計士協会の要職にも就いていたため、公認会計士の業界では大問題になっていました。信用失墜行為であったことは間違いなく、個人的にも非常に残念です。