読売新聞オンライン 2022年8月1日 8:14配信記事より
東京証券取引所は、上場基準に達していない企業に対し、具体的な達成期限を設定する方向で動き出した。今春に約60年ぶりとなる市場再編で取引の活性化を目指したが、基準未達のままの上場を認めたため、再編の効果が上がっていないとの指摘がある。東証は有識者会議での議論を経て、早期に期限を決めたい考えだ。
最上位市場からの「陥落」のイメージを避けたい企業に配慮し、東証は基準達成に向けた計画書を策定すれば未達でも移行を認めた。ただ、経過措置の期限を定めなかったため、約10年かけて基準を達成するとの計画を示した企業もあった。
現在、市場再編の効果は表れていない。4月以降、1日あたりのプライムの売買代金が活況の目安となる3兆円を超えた日数は3割程度にとどまる。海外からの投資呼び込みも不発で、プライムでは5~6月、海外投資家の売りが買いを上回る「売り越し」となった。

プライム市場の基準を満たしていないにも関わらず、プライム市場に上場している企業の達成計画について、期限を設ける方向で議論が行われ始めました。

市場再編の本来の意義を考えれば、当該措置はあくまで「経過措置」ですので、期限を設けるというのは至極当然のことのように思います。議論では各社の置かれている状況を考慮してほしいという意見や、努力の過程を評価してほしい、などといった意見もあったようですが、正直「甘え」なのでは?とも感じます。

監査役としては計画達成に向けて企業として努力をしているかという視点での検証はもちろんですが、期限が短くなると今度は不正の動機が高まることにも留意する必要があります。
あくまで健全な方法での目標達成、という暗黙の了解の醸成も必要ですし、無理をしなければ達成出来ないというのであれば、そもそも本当に自社はプライムに居続けなければならないか?本当にプライムでなければならないのか?という点についても、思考停止にならずに正面から議論すべきではないかと思います。

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